
バイオサイエンス領域
花を咲かせる時期を遅延させる新規低分子化合物を発見
春化に関わる遺伝子の脱抑制の機構を解明
〜植物の成長タイミングを自在に操作し、環境の変化に耐える作物を得る技術開発〜
奈良先端科学技術大学院大学(学長:塩﨑一裕)先端科学技術研究科 バイオサイエンス領域の白川一助教と伊藤寿朗教授らは、植物が冬の低温にさらされることにより、開花の準備を始める春化という現象について、この春化の抑制に関わる遺伝子の働きを促進することにより、花を咲かせる準備時期を遅延させる脱春化誘導化合物(Devernalizer、DVRs)を世界で初めて同定しました。さらに、モデル植物のシロイヌナズナを使った実験により、DVRs が遺伝子に作用する機構を分子レベルで解明しました。
植物が花を咲かせる時期を促進させる研究は多く行われてきましたが、花を咲かせるためのプログラムを一旦停止して開花時期を遅らせる仕組みはほとんどわかっていませんでした。研究グループは、花を咲かせる時期を遅延させる新規低分子化合物を探索し、特定の分子構造の化合物が春化の抑制に関わる遺伝子の働きを促進することをつきとめ、DVRs を同定しました。
これらの化合物は、植物が花を咲かせる時期を遅延させる仕組みの理解のみならず、人為的に植物が花を咲かせる時期を遅延させる技術の開発にも繋がります。
詳細はこちら:https://www.naist.jp/pressrelease/250214.pdf
